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                                     KT88 STC - GT Shape - 第 一 次 改 修
 

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さて、その後も「只今発振中?」などと疑心暗鬼に駆られながらも、超三結サウンドを堪能しつつ、
「球ばっふぁ」の製作に勤しんでいた訳ですが、発振も然る事ながら、今其処に在る筐体の熱さにも
堪らなく不安を掻き立てられる小心者の素人ではありました。

このままでは精神衛生上宜しくないと、無い知恵を絞って打開策を検討してみました。
 ○まずは諸熱の根源、出力段カソード抵抗をシャーシ内から追放しよう。
  このセメント抵抗はシャーシに接して放熱させている為、効果は大?
他にも、出力段SGへ電圧を供給する抵抗や、このブリーダー抵抗も熱くなっているようです。
 ○出力段SGへの電圧供給は、ツェナーダイオードで行なおう。
  ここにツェナーダイオードを用いるのは、他に理由があるのですが。
他にも、
 ○出力段SGのブリーダー抵抗を無くすなら、他に放電用の抵抗を付けないと。
○発振防止用の抵抗も入れておき、安心感を高めよう。
○前回遣り残していた、トランジスタにブリーダー抵抗を付け安定度を高めよう。 
○アレってカップリング・コンデンサだよなぁ。じゃぁ、フィルム・コンも付けとく?
○あぁ、これはマイナス給電アンプ大改修の予行演習にもなるな。しめしめ。

などと、改修すべき点をリスト・アップし、まずは実行してみました。


Kaizen ?

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出力段SG抵抗はメタルクラッド抵抗とし、放熱板を付け、
シャーシとの間には隙間を設け、外付けとしてみました。
20W程のメタルクラッド抵抗が購入先に無く、50Wのものを付け
ています。大は小を兼ねると言いますか、
金額も百円程の違いですし、大丈夫でしょう、たぶん。
トランジスタの放熱板程には熱くなりません。
ただ、とても持ち難いアンプになってしまいました。(^^;

流石にこれは効果が高いような気もしますが、一番のネックは
トランジスタとその放熱板だったのかもしれないと気付きました。
うーん、今更ながらどうしましょ。 

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出力段SGへは、12Vのツェナーダイオードを5本直列にし、
供給しています。
この部分は、以前にぺるけ様の掲示板にてご教示頂きました。
その時のログを保存していたはずが、紛失してしまいました。
私の記憶が確かならば、ここにツェナーを使う理由は、「抵抗を用いた場合、出力が大きくなった時、電圧降下も大きくなり安定しない」為だったような・・・。違っていたらごめんなさいです。

他にもこの部分には、SG電圧を安定させるのと、電源Off時の放電を兼ねたと思われるブリーダー抵抗がありましたが、この放電用の抵抗は別途取付けないと、電源Off時に電流が逆流し、トランジスタを破壊するとのことです。

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右側の赤い酸金抵抗が、トランジスタのベース電流を安定させるべく、新たに取付けたブリーダー抵抗です。
当初、ベース電流と同じ9mAを流す積もりで計算してみました。
抵抗値は350V/0.009A=38.9KΩで、W数は0.009A*0.009A*38900Ω*4=12.6Wと求めましたが、この部分に15Wのセメント抵抗を投入するのは大袈裟という気がしたので、130KΩ・5Wの酸金抵抗で2.7mA流すようにしました。以前茄子様よりご教示頂いた例より、ベース電流の変化が、凡そ8割程に抑えられている筈です。微々たる安定度アップですが、ここは漢らしく、9mA流して5割の変化に抑えるべきかなぁ。
ATOM君の横にあるのが、新たに付けた電源Off時のコンデンサ放電用ブリーダー抵抗です。

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出力段プレートより出力トランスを経てB電源部へ至る信号電流を、最短距離にて出力段カソードへ戻すATOM君200μFですが、これってやっぱりカップリング・コンデンサ?と思い始めたらもう、フィルム・コンをパラれずには居れなくなりました。
えぇ、素人の浅ましさです。
純白のナイス・バディが漢を惑わすASCの1μFをATOM君200μFに並列に接続してみました。もっと目立つ場所に設置して自己満足度を高めたかったのですが、ここしか隙間がありません。
ATOM君の巨体の陰で、ひっそりと美音の再現に貢献しています、おそらく。碌にエージングも進まぬうちにシャーシを裏返し、
手を入れ始めたんで、今聴くこの音の良さががエージングのお陰なのかフィルム・コンのお陰なのか、良く分からないっす。
いや、この音の良さは回路のお陰、ですね。

t07.JPG 宇多様の回路図 にあるように、出力段コントロール・グリッドには
330Ωの抵抗を入れました。マイナス給電アンプを「ぶぃぶぃ」云わしめた漢には当然の選択です。備えあれば憂いなしです。
出力段プレートには15Ωも、と思いましたが、こちらはUTiCd様の
回路図
を参考にフェライト・ビーズを入れてみよう、と用意はしましたが、18AWGのケーブルにFB-801は嵌りません。偶々余っていたPC用のノイズ・フィルタを使ってみました。が、聴感上の変化は感じません。これは電源のフィルタの為、効果が表れるのは数メガヘルツ以上ってことなのでしょう、多分。
小川様の回路図では、出力段SGにフェライト・ビーズを入れ発振対策をなさっているようです。色々な方法があるようですが、ツェナーの場合は、ど、どうやって入れいれれば良いのやら・・・orz。
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ふんぎゃぁ〜!」なんと、見苦しく絡み合う配線材の下から、
未接続の線材を発掘してしまいました。しかも2本も。
いかに完成時のチェックが甘かったかを如実に物語ります。
この線材は、初段シールドのアース接続と、初段ヒーター
のアース接続の線材でした。その効能はノイズの軽減ですが、
うーん、今まで特にノイズは感じなかったんですけどねー。
ということで、何の考えも無くブリーダー抵抗のアース側に落としてみました。いや、直ぐ近くにあったもんで。
結果、VRを最大にすると「ブチッブチッ」とノイズが聞こえます。
アースしてノイズが増えるとは何事かー!」ってなもんですが、経典を熟読していれば、その理由は明白です。
はい、私は経典の音読を繰り返し百回、させて頂きます。(^^;

t06.JPG これは、12AU7と挿し換え可能なECC99と挿し換え可能らしい
6BL7GTという真空管です。電圧帰還管に投入してみました。
「友達の友達は皆友達さ」方式の選択です。えぇ、無茶です。
でも、-GT Shape-で使えるかもしれない、稀少なGT管です。
ご覧の通り、プレート形状は6AH4GTと殆ど同じようですが、
それもその筈、6BX7GTの親戚筋の真空管のようです。
この球を使用すべく、製作の段階からヒーター巻線を、
電圧帰還管用に一巻用意して伏線を張っていたその努力が、
ようやく試される時がやってきたようです。
なにせ、ヒーター電力1.5Aという大喰らいなもんで。
こんな出力管を電圧帰還管に使って大丈夫なのか、という
気もしますが、よもや爆散することは無いでしょう、多分。

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大して知識も無い癖に、よくもこれだけ弄る気になるものだ、と自分でも呆れますが、
手を入れたお陰か、以前より格段に良い音が響き渡る・・・ようながします。(^^;

初段は、6SH7GTでも6SJ7GTでも、聴感上の違いは感じませんでした。
電圧帰還管は、6SN7GTより6BL7GTが、中低域に厚みがあるように感じて好みです。
出力管は、KT88のアクの強い音は好みなのですが、一旦KT90-EHに挿し換えると、もう・・・。
KT90-EHは、マイナス給電アンプでも、久しく玉座を占有したままだったんですよね。

ということで、我が家の超三結アンプは、当分の間は
「6SJ7GT/6BL7GT/KT90-EH」が不動のラインナップ
ということになりそうです。
ただ、6BL7GT、発熱が凄いようです。
発熱対策を施したその努力が、無駄と言うか元の木阿弥って奴です。
シャーシの熱さが、以前と変わらなくなったのが悲しい…。

何れにしろ、Ep-Ip図を描き、定数を煮詰めていくのが製作の王道ですが、
未だその水準に達していない素人の、邪道の改修でした。
本来ならば、特性を計測し、発表するのが筋なのでしょうが、生憎と・・・。
無音時にボリュームを最大にしても、ツィーター手前10cm程にて微かに「シー」と聞こえ始める。
位のことしか分からないです。(^^;

 

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この程度の改修を施すのにも、2ヶ月近く
シャーシが裏返ったままでした。
マイナス給電アンプの大改修は、
余程気力を充実させて臨まないと・・・。


んー、KT88カッコイイんですけどねぇ。
いや、音も独特で、好みなんですねぇ。
玉座を奪い返す方法、見つけんとねぇ。

 05年07月 完成                                                                                                     << HOMEへ  >>